
兵庫で観光客にお勧めしたい郷土料理を厳選
本州では、南北を瀬戸内海と日本海に接している唯一の県であり、東西にも幅広い事から、近畿地方では最大の面積を誇っている「兵庫県」。その面積の大きさから、兵庫県内には多くの種類の海の幸や山の幸を使った郷土料理や、ご当地グルメがたくさんありますね。実は兵庫県は、知る人ぞ知る郷土料理の一大宝庫。今回は兵庫で観光客にお勧めしたい郷土料理を厳選してご紹介いたします。
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全国的には「肉まん」や「中華まん」と呼ばれていますが、発祥の地ここ神戸では、多くの人から「豚まん」と呼ばれて愛されています。日本の豚まんの歴史は神戸から始まりましたが、それは1915年に現在の「老翔記」が「豚饅頭」を発売した事がきっかけでした。
当時は「神戸のぶたまんじゅう屋」と親しまわれていて、神戸に来た中国人船員が故郷を偲び、大勢の人が買いに来ていたそうです。











関西最大級の面積を誇る兵庫県だけに、郷土料理の宝庫でもありますね。自然豊かな兵庫の海の幸山の幸を食べに、グルメツアーをしてみてはいかがでしょうか?
神戸の郷土料理
【神戸ビーフ】
日本全国のみならず、世界的にも高級ブランド肉として有名な「神戸ビーフ」は、兵庫県内で生産された但馬牛に与えられたブランド。近江牛・松坂牛と並んで三大和牛と称される但馬牛の中でも、枝肉が一定の基準に達した場合に与えられるブランド名で、その肉質はきめ細かく、脂肪分が低い温度で溶ける事から大変美味しく、海外にも多くのファンがいます。 神戸市内にはA5クラスの最上級肉から、リーズナブルな価格の「神戸ビーフ」を味わう事が出来るお店が数多くあり、一度は食べて欲しい神戸の代表的食材の一つ。「神戸ビーフ」にまつわる一番有名なエピソードとして、アメリカのプロバスケット選手のコービー・ブライアントの名前の由来になった事や、オバマ大統領が来日時にわざわざリクエストした事が挙げられますね。【そばめし】
神戸発祥のB級グルメとして、現在では全国的にも有名な「そばめし」。冷凍食品が発売されるほどの人気メニューですが、このメニューのルーツは長田区の小さなお好み焼き屋で昼食をとっていた工員が、焼きそばと一緒に、弁当の冷ご飯と炒めてもらった事です。 焼きそばと焼飯のハイブリッドですが、ご飯を炒める時に麺を細かく刻むのがポイント。麺を短く刻むと、お好み焼きのコテやスプーンで食べやすくなりますから、麺と御飯の一体感のある味を楽しむことができるでしょう。
神戸の地ソースで味付けられた「そばめし」は、一度は食べて欲しい郷土料理の一品です。
【ぼっかけ】
「ぼっかけ」も長田区発祥の牛すじ肉とコンニャクを甘辛く煮た料理で、焼きそばや焼うどん、お好み焼きの具として重宝されていて、「そばめし」の具としても欠かす事の出来ない必須アイテムですね。 「ぼっかけ」を具に作られた「そばめし」は非常に人気が高く、専門店も現れて全国展開するほどの人気メニュー。 カレーの具やラーメンのトッピング材料としても用いられている「ぼっかけ」ですが、材料として用いられているだけではなく、単品でもお酒のあてとして食べられており、長田のソウルフードとして多くの方に愛されています。【豚まん】


今ではすっかり全国的な食べ物となった「豚まん」ですが、神戸の三大豚まんである「老翔記」、「三宮一貫楼」、「四興楼」が中心となって「神戸豚まんサミット」が開催されるなど、現在でも昔ながらの変わらぬ味を提供し続けています。
明石の郷土料理
【いかなごの釘煮】
神戸や明石で春の訪れを告げる料理が、「いかなごの釘煮」。神戸や明石だけではなく、淡路島や播磨地方でも作られている「いかなごの釘煮」は、近年でこそ全国的に有名な料理として認知されていますが、兵庫県では瀬戸内沿岸部だけで作られていた、ローカルな料理でした。 佃煮的なこの料理は、春先に水揚げされる生の「新子」を、砂糖・醤油・生姜で煮詰めた物で、折れた釘の様な出来上がり具合から、「いかなごの釘煮」と呼ばれています。 神戸や明石に水揚げされた新鮮な新子を求めて多くの人が買い物に出かけ、大量に釘煮を炊き上げる様子は、神戸や明石の風物詩。
ご飯に良く合い保存性の高い事から、現在では全国通販されていますが、やはり炊き立ての釘煮を地元で食べて欲しいものですね。
【玉子焼き】
全国的に有名なのは大阪の「たこ焼き」ですが、実はこのたこ焼きのルーツである郷土料理が、明石の「玉子焼き」です。神戸では「明石焼き」とも呼ばれている「玉子焼き」は、たこ焼きと同じ様にタコを具として用いていますが、生地の成分・焼き方・食べ方は全くの別物ですね。 生地には卵をメインに出汁で味付けをして、ネギや生姜を入れずに、トロトロの半生に近い状態で焼き上げ、熱々の出汁に浸けて食べるのが地元明石流の食べ方。 発祥の地である明石市には、数多くの「玉子焼き」店があり、県外からも車を飛ばしてまで来店する客で行列が出来るほど、大変人気のある郷土料理です。
神戸では通常のたこ焼きを出汁で食べる「神戸たこ焼き」もありますから、大阪・神戸・明石と食べ較べをしてみるのも面白いと思います。
加古川・高砂・姫路の郷土料理
【かつめし】
「かつめし」は、加古川市の洋食屋で創作された郷土料理で、コンセプトはズバリ「箸で食べられる洋食」。皿に盛ったご飯の上に、デミグラスソースのかかったビフカツやトンカツを乗せて、茹でキャベツを添えたシンプルな料理で、戦後間もない頃の食堂で考案されました。 カツは、箸で食べやすい様に一口サイズにカットされています。カツにかけられているデミグラスソースはお店ごとに独自にブレンドされ、デミグラス以外にもとんかつソースをアレンジして味付けするなど、各店がオリジナルソースの味で個性を競っています。
一時は後継者不足で伝統の味を失いかけたお店もありましたが、現在では学校給食に出されるなど、加古川のご当地グルメとして愛されています。
【にくてん】
もともと高砂市では「お好み焼き」の事を「にくてん」と呼んでいましたが、大阪のお好み焼きとの大きな違いは、生地の中にキャベツ等の具材を混ぜ込まず、広げた生地の上に材料を乗せて焼くと言う、重ね焼きのスタイルの点ですね。 焼き方以外では、具材にジャガイモやすじ肉を使うのも、「にくてん」ならではのレシピです。
「関東煮」を食べた翌日に良く作られたと伝えられているこの「にくてん」は、昔から駄菓子屋等でも作られて、子供たちがよく食べていたそうです。

現在で言うところの、ファストフード感覚でしょうね。
【姫路おでん】
日本人のソウルフードとして、非常に人気の高い料理なのが「おでん」ですが、この「おでん」を生姜醤油で食べるのが、姫路のご当地グルメである「姫路おでん」。 もともと姫路や相生地方では、おでんを生姜醤油で食べる習慣が一般的にありましたが、2006年に町おこしの一環として、この郷土料理を「姫路おでん」と命名し、ご当地グルメとして全国に発信しました。 おでんの上から生姜醤油をかけても、小皿に分けた生姜醤油に浸けても、濃口醤油や薄口醤油をベースにした生姜醤油で食べるスタイル全て「姫路おでん」と定義されています。
この姫路独特の食べ方である「姫路おでん」、白鷺城を眺めながら食べてみてはいかがでしょうか?
豊岡の郷土料理
【出石そば】
兵庫県北部に位置する豊岡市出石町では、古くは江戸時代から蕎麦を食べる習慣があります。 「信州そば」との違いは、信州そばが、ざるに盛って出されるのに対して「出石そば」は、手塩皿に盛ったスタイルで提供される事です。これは幕末に屋台で出す時に、持ち運びが便利な事から始まったと言われています。 その後、「出石焼き」の白地の小皿に盛られる様になると、「出石そば」ブランドが確立。現在では出石には約50軒もの蕎麦屋が立ち並び、関西を代表する蕎麦処。カツオと昆布で作られた濃厚出汁も「出石そば」の特徴で、その出汁と玉子・とろろ・ねぎ・大根おろし・わさび等の薬味を漬けて食べます。 出石には、一人前5皿で提供される「出石そば」を20皿以上食べると「皿そばの証」などの記念手型が貰えたり、手形を5枚集めると、1年間無料で食べられると言う特典が付いて来たりするサービスを行っているお店があります。喉ごしの良い蕎麦と「皿そばの証」を求めて、貴方もチャレンジしてみてはいかがでしょうか?【かにすき】
兵庫県北部の郷土料理の代表と言えば、この「かにすき」ですね。香住や柴山の港で水揚げされた新鮮なズワイガニは、「松葉ガニ」の名で高級ブランドとして全国的に有名です。 この「松葉ガニ」を使った「かにすき」を食べに県外からも多くの観光客が訪れて、かにシーズンに入るとJR西日本が「かにカニ日帰りエクスプレス」と名うって、臨時特急列車を走らせているほどの人気ぶりです。
温泉旅館とのパックのこのツアーは、リーズナブルな価格で「かにすき」が食べられて、しかも温泉にまで入れると言う充実ぶりが、人気の秘密ですね。
丹波篠山の郷土料理
【ぼたん鍋】
「ぼたん鍋」の愛称で親しまわれている猪肉なべは、丹波篠山地方の冬の風物詩。兵庫県では県内全域の山間部に生息が確認されている猪ですが、特に緑豊かな自然の中に、猪の大好物のエサが豊富にある丹波篠山では、肉質の良い猪が数多く生息しています。 この地では一年を通して「ぼたん鍋」を食べる事が出来ますが、鍋シーズンの11月~翌年2月には狩猟が解禁される為、捕れたての新鮮な猪肉で「ぼたん鍋」を食べることができるでしょう。「ぼたん鍋」は味噌で味付けされていて、この味噌が猪肉の臭みを上手く消してくれており、味噌にはお店独自のブレンドが施してあります。 この秘伝の味噌が野生の猪肉の旨味を上手く引き出してくれて、一緒に鍋に入れている野菜に染み込む事で、一層「ぼたん鍋」の美味しさが増します。寒い冬場に食べると体がポカポカ暖まる「ぼたん鍋」は臭みが少なく、非常に食べやすい料理ですね。【丹波黒】
おせち料理でお馴染みの黒豆は、「黒いダイヤ」とも呼ばれている黒大豆が原料で、特に丹波産の黒大豆「丹波黒」は、質と大きさで他の生産地よりも抜きん出た存在。この「丹波黒」の大きさの秘密は、成熟期間と栽培方法にありました。 一般的な小粒の黒大豆の場合は70日で成熟し収穫されますが、「丹波黒」の場合はそれよりも30日も長い100日で成熟します。 栽培や収穫方法も、ほとんどが手作業で丁寧に行われている為、普通の黒大豆に比べて半分の収穫量ですから、非常に高価な黒大豆として貴重がられています。 この「丹波黒」から作られた黒豆は、粒の大きさはもとより、甘味のある独特のコクとモッチリとした食感が、最高ランクの黒大豆として評価されています。
黒豆にしても良し!ビールのおつまみにしても良し!丹波の黒大豆は「食べられる宝石」ですね。
淡路の郷土料理
【たこ飯】
兵庫県の最南端に位置し、周りを海に囲まれ山もある淡路島では、海の幸や山の幸が豊富に採れる事から、古くから天皇や貴族へ食料を献上してきていて、「御食国(みけつくに)」とも呼ばれていました。 その淡路島の北部には潮流の速い明石海峡があり、ここで採れる「明石だこ」は、日本一とも言われるほどの美味しさで有名ですが、この「明石だこ」を干物にして作られた料理が、淡路の郷土料理である「たこ飯」です。 干物の「明石だこ」を軽く炙って小さく切り分け、昆布・みりん・酒・醤油で出汁を作り、ご飯と一緒に炊き込んだ料理が「たこ飯」です。普通の炊込みご飯と違って、具材はタコと土生姜のみと言うシンプルメニューですが、そのシンプルさがタコの旨味を上手に引き出しています。
明石海峡の潮流で鍛え上げられた「明石だこ」の身は、柔らかくてプリプリとしており地元民にも観光客にも非常に好評です。
【ちょぼ汁】
別名「だんご汁」とも呼ばれる淡路の代表的な郷土料理のこの「ちょぼ汁」は、赤ちゃんを産んだ母親の体力回復と、母乳の出を良くする効果があると言われています。もち粉で作られたこの料理は、「赤ちゃんの口元が、おちょぼ口の様に可愛い女の子育って欲しい」との願いからつけられた名前で、もち粉は耳たぶの柔らかさに練り、男の子ならひょうたん型に、女の子ならば俵型の形に練りあげます。 具材にはもち粉の他に、ささげ・ずいき(里芋の茎)を入れ、ずいきは古い血を下して、血を綺麗にする効果があると伝えられています。
元々は産後の女性の為の料理でしたが、現在では淡路島の郷土料理として観光客が口にする機会が増えていますね。
関西最大級の面積を誇る兵庫県だけに、郷土料理の宝庫でもありますね。自然豊かな兵庫の海の幸山の幸を食べに、グルメツアーをしてみてはいかがでしょうか?